会社員こそ「自分の軸」が必要な3つの理由

最終更新日:2022年6月15日

「大企業の社員って、人生の勝ち組だよな」「有名な企業に入れば、人生一生安泰じゃん」。

大企業や大組織で働く人は、世間的にはこうした目でみられているのかもしれません。

しかし「世間的」にはそうであっても、実際のところはどうでしょうか。私は大企業の社員として12年間働き、新聞記者として多くの企業や官庁を取材してきました。その実感から考えると「勝ち組」「人生安泰」というのは、まったく的を射た見方とは思えません。

むしろ大企業の社員こそ、迷いを多く抱えて生きているように見えます。なぜかといえば、大企業ほど個人の考えが仕事に反映させづらいからです。本当にやりたいと思えることを、どれだけの人ができているのでしょうか。「熱意ある社員」の国際的な調査では、日本は世界最低レベルの5%というデータがそれを裏付けています。

「自分の軸」や「理念」というと、個人事業主や中小経営者が持つものと思いがちかもしれませんが、私は会社員こそ「自分の軸」が必要だと考えています。なぜなのか、3つの理由をお伝えしたいと思います。

大企業の慣行が崩れていく

大企業の特徴とはなんでしょうか。多くの人が思い浮かべるのは、年功序列と終身雇用でしょう。昭和の時代から連綿と続く、日本的な企業の代表的な風習です。入社年次が長い人がほとんど無条件に偉く、一度入社すれば人生は会社とともにあるという暗黙のルールは、古い大企業ほどいまだ健在です。

しかし、様々な議論がされているように、これらの風習はもう崩壊の時がきています。時代が大きく変化する中、古い考えが幅を利かせている限り、展望がひらけないことを多くの方が気づき始めたからです。

経済界のボス的な存在の経団連も、この慣行を否定しています。経団連の中西宏明前会長は2019年12月の記者会見で「新卒一括採用・年功序列・終身雇用をセットとする従来の日本型雇用システムでは、こうした転換に対応できる人材は育ちにくい」と明言しました。保守的な体質の経団連ですら変革を促す発言をしており、わたしたちが長くしがみついてきた慣行はますます崩れていくでしょう。

そこにこそ、会社員が「自分の軸」を持たなくてはこの先、立ち行かなくなる理由があります。日本に代表的な「新党一括採用」「終身雇用」と「年功序列」の3つに焦点を当ててご紹介します。

① 硬直的な採用→会社の出入りが柔軟に

日本企業はこれまで経団連が旗振り役となり、硬直的な採用を続けてきました。その具体例が新卒一括採用であり、国際的に見れば特異な雇用慣行とされます。

新卒一括採用は、戦後の復興期に人手不足から高卒者を大量に採用したことから始まったといいます。多くの大学生は大学3年生から就職活動を始め、4年生の始めに内定をめざす学生生活を送ります。

就職活動の際には「就職人気ランキング」というよくわからない物差しが社会から与えられます。ランキング上位の企業に入れば「勝ち組」とされ、人生が成功したと思う学生も少なくないようです。

しかし、これは大変危険な考え方であることに、もう気づくころではないでしょうか。なぜかといえば、ランキングに頼るというのはつまり、自分の人生を他者に委ねることに他ならないからです。

コーチの仕事を通じて、そうした「人気企業」に入った会社員の方ほど、のちに苦しむ人が多いと感じています。なぜかといえば、そうした方の少ない方が「世間的に立派」であることを優先させて「自分が本当にやりたいこと」をめざして入社したわけではないからです。

もちろん、大学生の時点でやりたいことを明確に見つけることは難しいでしょう。しかし、他者目線で就職した企業で働いていて、果たしてその人が本当に充実した職業人生を掴むことができるのでしょうか。入社後3年も経てば「疲れた大人」の仲間入りをしている自分に気づくでしょう。

現在は働き方が多様化しています。中途採用の枠も増えてきています。今後さらに会社の出入りが自由になっていくでしょう。一度辞めた会社に再び入るという流れも出てきています。

選択肢自体は増えていますが、自分の軸がなければ、誰か作ったのかよくわからない「ランキング」にいつまでも頼らざるを得ないでしょう。それは他者目線の不安定な人生を続けることに他なりません。自分の軸を明確にすることで初めて、自分が納得できる選択ができるようになるのです。

② 終身雇用→会社と個人が対等な関係に

これまでは会社員になると、会社や上司の命令に従って動くというのが「当たり前」とされてきました。上司は正しくて、部下よりも優れているということが前提にありました。しかし、現在ではその当たり前は疑わしいものになってきています。

なぜでしょうか。それは「誰にも答えがわからない」からです。変化の激しいVUCAと呼ばれる時代、どんなに立派な経営戦略を立てたとしても、ほぼ機能しないというのはビジネスの世界でよくいわれることです。

これまでは会社の考えに個人が合わせればやっていける時代でした。特に大企業ほど、個人の考えで動くより会社や上司のいうことを忠実にこなす社員が求められてきました。下の図のように、個人が会社に飲み込まれているような関係でした。

コーチとして大企業勤めの方のお話をお聞きしていると、相手に求められたことは成果を出せるけれど、自分が主導して何かをやることに、実は大きな不安がある方がとても多いと感じています。それは個人の考えが会社に飲み込まれてしまっているためです。自分の軸がわからないので、いざ自分がやろうとしたときに、何をやればいいのかわからない状態になってしまっているのです。

これからは、会社に「おんぶにだっこ」という生き方は成立しなくなります。会社の意見よりも、個人の考え方が共感を集める時代になっています。個人同士でつながるSNSがさらに影響力をもつことで、この流れは加速していくでしょう。

これからは会社と個人が上下ではなく、フラットな関係を結ぶ時代になります。その一例として、大企業の個人事業主化があげられるでしょう。電通やタニタなどが一部で実際に始まっています。

終身雇用の崩壊によって、会社と個人の関係は変わっていきます。そのときに自分の軸や理念をきちんと持っているかどうかが、会社に飲み込まれずに、対等な関係を築けるかどうかのカギになります。自分の軸をもつことは、自分の身を守ることにもつながるのです。

③ 年功序列→ビジョンをもつ人が率いる

3つ目は、年功序列の崩壊です。古い大企業ほど「年功序列」はいまだに圧倒的な幅を利かせているのが実情でしょう。

しかし、こうした慣行ももう意味がなくなっていることに多くの方は気づいているでしょう。なぜかというと、歳を重ねることによって得られる「知識」は、変化の激しい時代においてはすぐ古びてしまうからです。

大切なのは知識ではなく、学び続ける力です。年齢を重ねても学び続けることが、第一線で働くためには欠かせません。既存の知識に安住している人は、これからの時代に決して自分の人生を切り拓くことはできないでしょう。年上だから、年下だからという、同質性の高い日本社会の枠で捉えていても、もう仕方ないのではないでしょうか。

これからの時代に必要なのは、共感されるビジョンです。世の中がこうあって欲しいと、切実にその理由を語り、共感を呼び起こす人こそ年齢問わずリーダーになれるでしょう。

著述家の山口周さんは、多くの著作で「『役に立つ』より『意味がある』に時代がシフトしている」と語ります。もう世の中には役に立つものは数限りなくあります。「役に立つ」は飽和しているのです。これからは「共感を呼ぶ意味が作れるかどうか」が人を動かす最大のカギになると言います。

「共感を呼ぶ意味」こそビジョンでしょう。この時代にこれをしている理由を、自分のエピソードを踏まえて語れる人には、ファンがつきます。私自身、記者時代に各分野2000人ほどのリーダーを取材してきましたが、人を集めるリーダーに共通しているのは「なぜその仕事をしているのか」という問いに対して、自分の言葉で語れることでした。

自分のビジョンがあることで、共感を呼び、人を動かすことができます。年功序列という干からびた仕組みに頼るのではなく、自ら声を上げてビジョンを語る人に時代の追い風が吹いています。

自分の軸を明確に作るために大事な2点

では自分の軸をもつためにはどうするといいのでしょうか。これまで100人以上の方の軸や理念づくりに携わってきた経験から申し上げると、自分一人では見つけることは残念ながら難しいとお伝えさせていただきます。なぜなら、自分のことは自分では捉えきれないためです。

自分の軸を明確にするために欠かせないのは「対話」と「内省」です。対話することで自分ひとりでは見えない自分の姿が見えてきます。内省によって自分の奥底に眠る自分の姿に迫ることができます。

私自身、対話と内省によって精神的などん底状態を抜け出しました。そのときに出会ったのがコーチングでした。コーチングは、自分の軸を作るために役立つ有用な手段だと私の経験からもお伝えしたいと思います。

大企業の社員の方は、仕事中は自分を押し殺している方が多いと思います。そうしているうちに「自分自身がよくわからない」状態に陥ります。それがメンタル不安を引き起こします。かつての私がそうでした。

ぜひご自身のこれからに悩む方は、ピンとくるコーチを選び、内省を深め、ご自身の軸を見つめ直してみてはいかがでしょうか。自分の軸と理念を明確に言語化することであなたらしい人生を確実に描き直すことができます。そして、本当にやりたいことを実現できる自分に変わることができます。

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安倍大資(あべだいすけ)
自己理念コーチ、フルエール代表

新聞記者出身のプロコーチ(CPCC、Co-Active®︎コーチ)。日経新聞記者をしていた34歳の時に自分を完全に見失い、9ヶ月間うつ状態で過ごす。精神的どん底期でコーチングに出会い、自分の価値観で生き直すことを決意。2021年4月に独立しフルエール創業。

悩みを乗り越えた経験をもとに「仕事軸と理念を言語化しやりたいことを実現する」コーチングプログラムを提供している。

京都芸術大学大学院でコーチングを研究中。早稲田大卒。

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